延享四年(1747)に当流儀が興ってから今日まで、次々と名曲が生まれて歌舞伎と共に発達してまいりました。

私が座右の銘としております言葉「古き礎の上に新しきぞ建つ」、これは常磐津の成立から現在に至るまでを一言で云おうとしているのです。祖先より受け継いで来ましたこの芸術を大切に保存しつつ多くの方々に体験していただきたいと思っておりますが、今日の実生活の中では古典芸能、浄瑠璃・三味線などは、なかなか理解しにくくなっております。

何故でしょう……言語風俗など随分変わりました、ことに生活の様式も和風から洋風に変わりつつあります。このような環境では理解しにくいのは当然であります。そこで常磐津を鑑賞、研究しようと思われる方々にまずお願いすることは、江戸時代の錦絵、又歌舞伎の資料挿絵など視覚から入っていただきたいのです。其上で常磐津に接していただけば、こんなに面白い芸術があったのかと、驚かれることでしょう。

このたび、常磐津協会のホームページを通して皆様に接する事が出来るようになりました。当流に興味をおもちの方は是非多くの質問をおよせ下さいますようお願いいたします。
常磐津協会顧問 常磐津英寿